瞑想

 
ア ジャパ・ジャパ・ディヤナAjapa japa Dhyana
自然にマントラを唱える瞑想法


アジャパ・ジャパ・ ディヤナ(Ajapa japa Dhyana)
自然にマントラを唱えて瞑想する方法


瞑想に到達するための練習の中でも最も大切なのは集中するというです。アジャパ・ジャパは、とてもシンプルだけれど集中するということを成し遂げるのにと ても効果的な練習法です。マインド・心や意識を集中させるためには何か注意をひきつけておくための対象となるものが必要です。アジャパ・ジャパはその為に いくつかの対象を使います。

ジャパというのはマントラを唱えることを意味します。ジャパにアをつけることで、マントラを唱えるということが自然なものになります。ヨギ(ヨガの行者) たちは私たちの呼吸にはある音があるということ、つまり息を吸うときには「ソ」という音が、息を吐くときには「ハム」という音が発生することを発見しまし た。なので私たちは無意識的に一日中「ソ-ハム」というマントラを唱えているのだということに気づいたのです。

アジャパ・ジャパの練習では意識的に「ソ-ハム」というマントラを唱えることで、呼吸と音を使って意識を集中するということをします。そして3つ目に、体 の中の呼吸とエネルギーの動きにあわせるということで集中力を増すことが出来ます。体の中にはとても重要なエネルギーの流れる道、シュシュムナがありま す。そのシュシュムナに私たちのエネルギーを自由に調和の取れた状態で流してあげたいのです。この流れ道はムラダラ・チャクラ(性器、又は会陰のところ) に始まり、アギャ・チャクラ(松果体)に到達しています。この練習ではエネルギーがムラダラ・チャクラからアギャ・チャクラまで上がってゆき、アギャ・ チャクラからムラダラ・チャクラにまた下がってくるということをイメージしてみます。

呼吸と、音と、動きが、マインド・心や意識を集中させるためのいかり錨のような役割をします。そうすることで白昼夢をみているような意識があちこちにある 状態ではなく集中させることが出来るというのは言うまでもない事でしょう!

この練習で大事なもう1つの要素はマインド・意識や心を清めるということです。練習は、「ソ-ハム」をしばらく唱え続け、「ソ-ハム」を一旦止めて、おで この「チダカッシュ・chiddhakasha」と呼ばれる場所に集中することでマインド・意識をまずどこかに撤退させ、無意識が何かを表現する機会を与 えます。それはマインド・意識の奥深く、遠くにある何かの記憶映画をおでこのスクリーンのところに見るような感じです。自分は第三者、客観的に観察する証 人になったつもりで、自分のなかにある、無意識の自分から今まで知らなかった自分について、驚くようなことも含めて、何か学ぶことができます。

そういう深く無意識や潜在意識の中に根ざした記憶というのは自分の行動や考え方とか、おかれた状況にどう対応するかというような態度に大きな影響を与えて います。そうした記憶を表面に出して、そういうルーツを自覚することを通じてもっと自分を理解することが出来るし、少しづつ自分の行動や考え方のパターン を変えることに繋がってゆきます。



練 習
ステージ1:
楽な無理のない姿勢で座り、時計、眼鏡などをはずし、携帯電話の電源は切っておきましょう。これからの練習を遮るものが何もないことを確認しましょう。
手はチン・ムードラかギャン・ムードラ、又はバイラバ・ムードラのどれか心地よい形で膝の上に乗せておきます。背筋はまっすぐに伸び、肩は少し後ろにひい て、でも力をいれずにリラックスし、頭はまっすぐ正面を見、あごを少し引いておきましょう。
目は閉じて、呼吸はウジャイの呼吸(ujjayi breathing・声門を閉じる呼吸)を使い、無理なく出来るようならケチャリ・ムードラ(ketchari mudra・舌を上顎の奥に押し当てる)も取り入れ、ゆっくりと深呼吸します。

ステージ2:
アジャパ・ジャパ・ディヤナを始める前に少し、カヤスティリヤム(からだの安定)の練習を取り入れておきましょう。体の姿勢を意識してみましょう。
身体は力が抜けてリラックスし、どっしりと床に安定しています。そして、そのまま意識を足の爪先から頭のてっぺんまで順番に体の各部分に向けてゆきましょ う。そして、今自分の体が心地よく、動かずに安定していることを確認しておきましょう。
そして少しづつ意識を外の音に向けていってみましょう。その音が何の音、どこから来る音なのかを特定したり推測したりせずにただ単に音を観察するだけにと どめながら意識をひとつの音からひとつの音へと転々と移していってみましょう。
一番遠くに聞こえる音から一番近いとこでの音へと意識を移していきます。

ステージ3:
そして、呼吸を意識してみましょう。
鼻の穴から息が入ってくることや出て行くことを感じてみましょう。
ひんやりした空気が入ってくること、生温かい空気が出て行くことを感じてみましょう。しばらく意識を呼吸に集中させておくことで、鼻の中の毛の一本一本が 呼吸によって動くことさえも感じることが出来ます。
そのまま少しづつ呼吸を深くし、深いゆっくりな呼吸が出来るようにしてみましょう。

ステージ4:
<初心者>
呼吸が息を吸いながらおへそから喉のところに上がっていくことを、息を吐きながら、喉からおへそに下ってくることをイメージしてみましょう。
<上級者>挿絵を参考に
エネルギーが吸いながらムラダラ・チャクラからヴィシュッディ・クシェトラムにすべてのチャクラのクシェトラムを通って上がってビンドゥまでいき、吐きな がらビンドゥから、アギャ・チャクラ、すべてのチャクラを通ってムラダラ・チャクラまで下がってくることを感じてみましょう。
ステージ5:
息を吸うのと同時に「ソ」という音を、吐くと同時に「ハム」という音を意識してみましょう。ウジャイの呼吸とケチャリ・ムードラをしながら「ソ-ハム」の 練習を続け、エネルギーの動きと呼吸と音を意識し続けます。自分自身が呼吸そのもの、音そのもの、動きそのものになってしまったかのように、それらの集中 するべき対象に完全に意識を集中しておきましょう。

ステージ6:
5分~10分ほど続けたら練習を止め、普通に呼吸し、おでこのところの暗いスクリーン、チダカッシュに意識を集中します。集中したまま、感じたり、考えた り、焦らずにマインド・心がそこに何かを映し出すことを待ちましょう。客観的な観察者、証人になったつもりで表面にでてくるどんなものでも注意深く観察し ましょう。何かそこに見えたものや感じたものに対して感情を注がないようにしましょう。もし、泣きたくなったら泣いてもいいですが、あくまでも観察者の態 度で。この間、深く自分の意識の奥に根ざした記憶を表面に出してあげて、自分自身に見せてあげることで、マインド・心や意識をきれいにしてあげる絶好の機 会です。それらの記憶はあなたの一部分となっているかぎり、知っておいてあげる必要があります。それらを見ることによって今までとは違った見方で自身にも 他人にも思いやりをもって意識的に接することが出来るでしょう。

ステージ7:
もう一度「ソ-ハム」の練習を5分~10分やり、チダカッシュ・ダラナをやり、ということを無理なく、心地よく出来る限り繰り返し続けます。

ステージ8:
「ソ-ハム」の練習を止め、呼吸に意識を集中させます。
もう一度、鼻の穴から息が出たり入ったりしていることを感じてみましょう。Stage seven:
すこしづつ外の音を意識してみましょう。
今、自分の体がスタヂオ(又は自宅)で座っているのだということを感じてみましょう。
いま、自分自身も周りもとても心地よく、平和な感じがします。.

マントラのアウムを3回唱えたら、手を擦り合わせて、閉じた目の上に当ててあげて、準備が出来たらゆっくりと目を開け、練習を終えましょう。

 

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